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<Category19-036 / 2008.6.13> 前回に続き復興小学校を紹介するが、今回はその建物の中に入ってみようと思う。 今回お見せするのは1929年(昭和4)に完成した2校だが、1校は各学年2クラスづづで全学年12クラス、もう1校は各学年1クラスづづで全学年6クラス、そして後者は1クラス10人を切る学年も擁している学校である。 建物の外観は全く異なる表情を持っているが、内部に入ると、そこに展開する空間は写真でしかまだ見たことのない弥生小学校のそれと同じだと直感した。 そしてこの2校に共通しているのは、先生方の生き生きとした教育に取り組む姿だった。 部屋の照明一つ点けるのにも、あっちを押したり、こっちを押したりと大変そうだったが、まだどのスィッチでどこが点くか分からないんですよ、と大らかで、昔の建物だから多少の不便は仕方がない、慣れれば大丈夫、工夫して使えば大丈夫と、このような大人の考え方はきっと子供達にも自然と伝わるのだろうと微笑ましく思って灯りが点くのを待った。 1校は今年の夏に改修工事に入るそうだ。 内部の塗装が剥がれてきて見苦しいから直すのだそうだが、私にはそれ程見苦しいとも思えなかった程で、きめ細かい手入れを繰り返しているのだろうということがその言葉の端から伝わってきた。 2校ともグランドは狭い。 だが、屋上にもトラックのラインが引かれ、すべてが無駄なく使われている。 体育館も今のものと比べると天井が低い。 だが、多少バレーボールをする時に天井にボールが当たることもあるけど、たいした問題ではないと涼しい顔で説明された。 体育館の天井が高いと、子供たちはわざと高いトスを上げる。 天井が格子ルーバーになっていたら、わざとそこを狙って格子にボールを嵌めることに挑んだり、上手くやると格子を通り抜けてボールが戻ってこないことを喜んだり、子供とはそうゆうものだ。 体育の授業を通してスポーツのルールや楽しみを教えるのに、高い天井が必ずしも必要とは思わない。 むしろ限られた制約の中で、天井に当たらないようにサーブを工夫し、低いトスを習得する方が余程技術も磨けると思う。 何でも充足し揃っている中では決して創造的な感性は育たないと思う。 2校とも学級菜園は屋上にあるが、そのうちの1校の菜園が大変面白かった。 既に定年退職された前校長先生の考えを受け継いでいるそうだが、旬の野菜が植えられ、小さなコンクリート製の田んぼには苗が植えられている。 何よりすばらしいと思ったのは、学年毎に教材として菜園に取り組んでいるのではなく、野菜を育てることでその旬を教え、季節を教える、そして、学年菜園の垣根を乗り越えて、全学としての畑がそこにあることだった。 低学年の菜園を高学年の子供が手伝う、また、高学年の菜園を低学年の子供が覗く。 田植えや稲刈りは高学年の子供の仕事だろう。 きっと低学年の子供から見ると、高学年の子供はきっと頼もしいお兄さんお姉さんなのだろう。 子供たちのいない菜園を見ながら、その情景が目に浮かんで来た。 優れた教育者の教育理念というものは、こうゆう所にさり気なく見えてくるのだなと思いながら眺めた。 先ず、各学年1クラスづづで全学年6クラス、1クラス10人を切る学年も擁している学校の中を歩いてみよう。 先の体育館や屋上菜園もこの学校の写真である。 この写真は1クラス8人の学級だが、私にはとても楽しいクラスに見えた。 小規模化は教育指導や運営に大きな影響を及ぼすという、函館の教育者はこれをどのように思うのだろう......。 ランチルームでは、低学年も高学年も先生も、みんなで食事をする。一つ一つのテーブルに年齢の違う子供たちが混ざって、上級生が下級生の世話をする。 小規模だからできるこの豊かさを函館の教育者はどのように思うのだろう......。 次は、銀座のど真ん中にある学校の中を歩いてみよう。 ここは各学年2クラスづづで全学年12クラスあり、児童数のバランスは取れている。 部屋も家具も何もかも古い。 しかし、島崎藤村が、北村透谷 が、近衛文麿などなどが学んだ部屋である。 ツタが絡まり、こんな洒落た建物なのに、函館にあったら壊されるのか......。 貴重な資料が山とある。 ランチルームは落ち着いた雰囲気がある。 かつてはここから川が見えた窓である。 函館市教育委員会は、この問題についての最初の答申のなかで、1学年が10人以下のような学校の小規模化が、教育指導や運営に大きな影響を及ぼすとしている。 そして、そのためには教育環境の改善が必要であるとし、この小規模化を回避するためだけに統合を行い、児童数だけを増やそうとしている。 今回見ていただいた2つの学校と比べて、この大きな違いをもっと真剣に考えてみてはもらえないだろうか。 函館に教育の誇りと教育理念があるのなら......。 [追記:推薦] Blog・透明タペストリーの 「環境が人を育てる」で、泰明小学校を取り上げていただいたので、こちらも是非お読みください。 <次回も、温故知新をつづけます>
by yayoizaka
| 2008-06-13 06:52
| 19. 四方雑話
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